滅亡ではなく衰亡 February 23, 2009
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ここのところ大型の赤字決算が相次ぎ、日本が滅亡するか否かというような記事を紙でもWebでも見かける機会が多くなってきた。

“滅亡しない論”の筆頭となる論調は「国の累積債務は800兆円以上あるが、その貸し手は国内ばかりだし金融資産が1400兆円あるから相殺できて大丈夫」というものだ。 本当にそうだろうか? 国の借金のうち表面的に見えている国債は、主に国内の銀行が引き受けていると思う。 その原資は僕らの普通預金だから、実質的には1400兆円の大半が国債に変換されていると見て良いのではないか。

引き当てられているから大丈夫、論のウソ

いまはこれを清算せず借金を積み増している状況でいわば1400兆円をどんどん国債で置き換えている過程だろう。 この状況の破綻シナリオのシンプルなかたちは「踏み倒す」ケースで、じじつ徳政令は歴史上ありがちなパターンだ(『「借金棒引き」の経済学』を読むと徳政令のその後が良く分かる)。 その場合、個人の金融資産のうち焦げ付いて取り返せない部分が発生することになり、要するに普通預金がある日激減する。

滅亡しない論者が何をもって大丈夫と考えるのかは分からないが、世間一般に満遍なく預金がなくなる状況が大丈夫とはとうてい思えない。

現実にはこんなにシンプルな進み方をせずインフレを混ぜたかたちになるだろうが、要するにモノとカネの価値バランスが激変して相対的にモノが買えなくなるシナリオという点では同じだ。

債権だって怪しいもの

滅亡しない論の補強材料として、「日本は最大の債権国」というものがあるが今まさにここが怪しい。

主たる貸し出し先のアメリカがバブルだったということは、日本の債権にもかなりのバブル資産が含まれていることになる。 アメリカは今後、さまざまな形で債務放棄を求めてくるだろうが、それ以前に「現地に行ってとりたてるのか?」と想像すれば、だまって焦げ付いていく可能性の方が高そうだ。

農林中金のサブプライム直撃は分かりやすすぎてアホかと言いたくなるが、トヨタがサブプライム層に売った車の代金もちゃんと取れるのかという話にまでなっている。

たしかに滅亡ではないだろうが衰亡するだろう

結論としては、ぱたっとはいかないものの、だから大丈夫だというのは無理がある、ということだ。 国力はじょじょに減り、下層から順に脱落していく過程はすでに始まっている。

なかなか衰亡シナリオを見通す人はいないから支持されないが、横這い推移できる保障もない。 こうして状況に気づかないことがまさに衰亡を呼び込む原因になるのだろうと思う。

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