最強ウイルス
2008年11月10日(Monday) 08:38pm パンデミック 書評2008年1月のNHKスペシャル取材班が、番組内で放映しきれなかった情報も含めてパンデミックの最新動向を整理した本。
『NHKスペシャル 最強ウイルス―新型インフルエンザの恐怖 (NHKスペシャル)』
NHK「最強ウイルス」プロジェクト
広範囲な取材をもとに日本のパンデミック対策の実力(不足)を明らかにしている。
この一冊で、もし新型インフルエンザが流行したらどのような阿鼻叫喚の図が待っているのかを理解できる。
まず前半で新型インフルエンザの威力が実話をもとにつづられる。
インドネシアで2006年に起こったヒト・ヒト感染の初のケースをインタビューから再現したものだが、死に直面した人たちの緊張感がものすごい。
これまでのH5N1ウイルスの実績は致死率60%だから、周辺にいただけで感染死する可能性がある。
そんな状況でウイルスをその村だけに封じ込めるための決死の努力が行われていた。
重点的な状況監視のおかげで、これまで10年ほどはパンデミックにならずに済んできた。
しかし、状況は着実に悪化しており、鳥どうしの感染でH5N1ウイルスは今や世界中にバラまかれているという。
ウイルスの母数が増えた分だけ、進化のスピードは加速している。
どこかでヒトへの効率的な感染能力を獲得して、パンデミックにつながる可能性は高いと見られている。
先進国で実際にパンデミックに陥った場合にどのようなことが起こるのかは、後半の対策訓練の様子からうかがい知れる。
日本では新型ウイルスへの関心が海外と比べて極端に低く、誤った行動によりどんどん感染が拡大していくと見られている(おそらくその通りだと思う)。
現実にはパンデミックがどのような致死率、感染率に着地するのかは見えていないが、いたるところで病人、感染源だらけになっている社会について少しは考えておかないと自衛できない。
この本は専門知識ぬきに具体的なイメージを持つために非常に役立つ一冊だ。
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