立花隆の書評の良いところ February 23, 2007
Rating: 4.5

立花隆の書評第3弾『ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊』が出た。店頭で見つけて中身も見ずに買った。面白いのは分かっているからだ。 いま6割くらい読んだところで、育児と仕事と週末起業の合間をぬって読むものだから睡眠不足もはなはだしい。

読み終わったらこの本に対する書評も書くが、すでにレーティングは決まっていて、5つ星進呈とする。この記事では本自体の評価はさておき、書評シリーズがどう良いのかを力説してみたい。 ぼくはこんな本を読んできた』が95年12月、『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』が2001年4月だから、このシリーズは約5.5年おきに刊行されている。 これは、『週間文春』の連載書評「私の読書日記」のアーカイブ5年分を基礎に作られているからだ。まず、その物量からしてすごい。セレクトされた結果としてこの量かと圧倒される。

1ページに1冊程度の密度で、おそろしく多彩な分野の本が紹介されていく。 歴史、宇宙、文明論、考古学、政治の裏側、戦争、…… ジャンルこそ幅広いものの出て来る本の傾向はあって、常識や定説を覆すような有力最新仮説であることが多い。 そのような発見は、技術の進歩によるものだけでなく、遺跡の発掘によって歴史が書き換わっていたり、機密資料の公開で国際政治の真相が明らかになったりと様々なケースがある。

ベストセラーの類はあらかじめ選定から外れているので、これらの興味深い情報を僕たちは通常読むことがないし、そういった分野の知識を持っているわけでもないので偶然に発見するような機会もない。 だから、この書評シリーズを読むと、「こんな本があったのか!」という発見の連続だ。

さらに言うと、紹介されている本を読まなくても各分野の研究動向を知ることができる。 『ぼくはこんな本を読んできた』などはもう10年も前の本だから、そこで紹介されている本はじつのところほとんど手に入らない(けっこう探しまわった)。 だったら全然使いものにならないのかというと実はその逆で、もはや読む可能性のない本の主張を簡潔に知ることができるという点で優れている。

それにとどまらず、手に入る本であっても時間の制約上紹介されている本はほとんど読めないし、中には難解で普通の人には読めない本も混ざっている。 そういうものも含めて、極力分かるように書かれているのだからありがたい。

要約されたものを読んで知った気になるわけにはいかないが、存在すら知らないよりは格段に良い。 確実にそう思える知識が詰まっている。

One Comments
うるめねっと起業Log August 19th, 2007

知のソフトウェア…

立花隆が知的生産のワザを具体的に解説した本。 1984年発行だから20年を超えるロングセラーだ。 『「知」のソフトウェア (講談社現代新書 (722))』 立花 隆 価格: 756円 (中古:30円?) 出版年月…