デジタル補間技術が主流に乗り始めた September 1, 2006
日立マクセルが圧縮音声を高音質化する技術ブランド「VRAISON」を発表した。一瞬分かりづらかったのだが、実はポイントをついたすごい技術だと思う。
音声にしても動画にしても、デジタルデータは圧縮がつきものである。そうすることで便利になるからだ。 そのぶんデータを捨てるので質が劣化する。これはMP3に始まった話ではなくCDの頃から言われてきたことだ。
20kHz以上の高音は人間には聞こえないということを前提に、CDではそれより高い音が削られている。しかし現実には20kHz以上も感知しているという話も根強くあり、「CDの音にはツヤがない」というアナログ派の主張を良く見かける。
最近ではiPodなどの普及でMP3が浸透しているが、これは音データをもっと捨てている。 だから、MP3が基準になってくると、CDの音質が原音であり高音質化とはCDの音をいかに目指すかという誤解が広まってくる。 しかし、冒頭の「VRAISON」はMP3やCDの音源データを使って40kHz以上の音まで再現するという。 メディアによってDVD-Audio並み(ITmedia)とSuper Audio CD並み(CNET Japan)となぜか規格が割れているが、CDよりも音が良くなると主張している。
これは元データには存在しない音が新たに生成されるという不思議な現象だ。 同様の技術をPS3による「熟成」構想として以前久夛良木社長が語っている。
デジタルデータは再生時に必ずプロセッサによって計算される。 しょせん元の波形ではないので、一部の情報を参考にして自然界のパターンと似たような結果を得られる計算をすればよりそれらしいデータが得られる。
つまり、ここでいう高音質化とは原音に近い音という意味ではなく、より自然に存在するパターンに近い音という意味だ。 おそらくこの点について「人工的な音」「しょせん作り物」と評するオーディオマニアが必ず出て来る。
死ぬまでレコードにしがみつく人はそれで良いだろう。好きずきだから。
でもデジタルデータとして利用するのであれば、どうせだったら作り物でもなんでも自然界にありがちなパターンにまで加工してくれた方がありがたい。サンプリングした時点で既に加工済なわけだし。
結局、デジタルデータの品質は、不快から快に近づけばそれで進歩だと思う。
THE BEST PENNY LANE