ついに病気扱いされるニート August 25, 2006
Rating: 3

「ニートに「発達障害」の疑い、支援に心理専門職も」(YOMIURI ONLINE)という記事がはてなブックマークでやや人気になっている。 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060824i101.htm

出てきてみれば当然予想された報道ではあるが、この内容は相当疑わしい。 なぜ働かない人だというだけで先天的に脳に障害があるということになってしまうのか。もちろん記事では「一部」という限定を加えているが、これは「ニートは病である」と言いたい記事だ。 そもそも調査自体がそういう仮説(先入観)のもとに行われているはず。 正気と狂気の境はあいまいであるという主張は過去から多く存在している。

特定のグループを狂気であるとラベル付けする裏には、その他の人たちが「彼らが狂気であるがゆえに、自分自身は正気である」と思いたいという心理がある。

特に今回の調査の場合、20年もかけて育ちまくった人たちをつかまえて「一定の人の脳が先天的にいかれていた」という主張はかなりひどい。そんなにすっぱりと後天的な影響を排除できるものなのか?

さらに言うと精神病の定義自体が非常に疑わしいものであることも知られている。 『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』で紹介されていた本の中に、ある頃突然ヒステリー(Wikipedia)という病気がなくなった、という内容の本があった。 ほかにも、政治の道具として精神病という名目が使われてきたと主張する本もいくつか紹介されていた。

脳はもともと様々な状態をとるものであり、それを病気として固定的に認知したところで何の益もない。 薬剤を投与して社会から隔離すれば街中でニートを見なくて済むかもしれないが、社会的なコストが増えることには変わりがない。

こういう記事がソーシャルブックマークの上位に入ってくること自体が病的だ。どういうつもりでブックマークしたのかは分からないが「自分も病気かもしれない」と言い訳するのはやめてほしい。 精神の病は「そうかもしれない」と思っている間の病なのであり、根本の状況を変えない限り治ることはない。医者だって病気を治すと同時に病気自体を生産しているのかもしれないのだ。

Comments are closed.